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更新日時:2017.09.14


小説 / 青春・友情

連載中 ギセイミライ

作品の長さ:6,867文字

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 失った味蕾。

 しかし、舌触りは過敏にその性質を伝えてくる。滴、棘、屈折、蜜、反射、闇、毒。どれもが違う表情で舌を這い、喉元を通り過ぎる。

 

 足元には黒い穴がいくつも開いていた。それは絶えず俺を罵っている。引きずり込まれた闇の底で、肉体を啄ばまれながら、失った味覚が蘇る。

 たった一滴が染みのように広がる波形は甘く、鋭い棘に貫かれた肌から産まれる赤い実は酸味を伴い、毒入りの蜜は辛く、鏡と鏡を繋ぐ虹の欠片は苦かった。

 やがて闇が闇を覆い、すべてを俺は飲み込んだ。

 

 現実を飲み込む音がざわめく。

 未来へ葬る犠牲たちの音(レクイエム)だ。

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