竜が神を喰らう。神が魔を払う。魔が人を蹂躙する。人が竜を討つ――混沌たる戦火の世界、フィナルディア。

魔族の侵攻に端を発した終わりなき戦争は弱き人々を蹂躙する。もはや悲劇などありふれた世界に1人、男は現れた。

槍を1本振りかざし、行く先々で邪悪と戦う男はいつしか英雄と呼ばれる。彼は神殺しの英雄。神の返り血を全身に帯び、瞳には悪魔宿して、心には人間の善を抱く。男はただ己の進むべき道を進み戦い続ける、いつかこの闘争を終わらせるために。

終わりの見えない闘争の中、無数の心が交錯する。世を蹂躙せんと暗躍する邪悪、封じられし禁忌の竜、未だ姿見せぬ天の王。光にも闇にも与しうる混沌の種、人の子ら。

主なき未踏の館、死臭漂う洞窟、精霊待つ泉、邪王の伝説、悠久生きる魔術師、忘れ去られし秘術、祝福に災厄宿す宝珠……世界には未だ数多の神秘が待つ。

その男は大地に立つ。天に叛きし槍持ちて、心に正しき心抱いて。背には許されざる罪を負うて――

これは英雄の物語。混沌たる世界で己を貫く、唯一無二たる人の子の、永き戦いの物語。