小説 / 恋愛
連載中 嫌われ魔女母と忌み子の深愛狂詩曲
作品の長さ:1,691文字
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平和なその国で人間と魔女は共存していた。
彼等は共に教育を受け、共に働き、共に歩む未来を選択した者も存在していた。
しかし平和は長くは続かなかった。
ある時起きた飢饉によって人々は生活に苦しみ、明日も見えない日々を過ごした。
これを問題視した王は解決の為に資源が豊富にある領土を求め、戦争を始めた。
戦争に大金を注ぎ込んだ国で人々は……今日生き抜けるかさえわからない生活を強いられた。
そんな生活が数年続いた頃。
栄養失調の人々は流行り病に倒れ、何万もの人々が亡くなった。
しかしこの病に罹患せず、倒れなかった種族が居た。
それは人々と共存していた魔女達だった。
人々は流行り病を魔女のせいにし、魔女の存在を恐れた。
共存の文化もやめ、魔女というだけで処刑の対象とした。
この悪しき文化は魔女狩りと呼ばれ、平和な世になるまでの百年の間続いた。
その魔女狩りから逃れる為、人々を食らう魔物が巣食う森奥に移った魔女が一人。
人々と共存する文化があった頃から生き続ける彼女は豹変した人々を恨む事も無く、一人静かに千年以上の時を生きていた。
艷やかな黒髪に吊り上がり気味の赤い瞳という……若々しく、美しい姿のままで。
暇を持て余していた魔女は気まぐれで1人の人間の少女を拾う。
その子が男子だと知らないままで――。
※表紙イラストはアイコンメーカーを使用させて頂いています