小説 / 青春・友情
連載中 さよなら山手線、さよなら東京。
作品の長さ:1,309文字
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三十五年前の上京以来ずっと住み続けた東京。その東京を去る決意をした純一。彼が最初に住んだ街が豊島区南池袋、最寄駅は山手線の目白駅だった。純一はそこから大学に通っていた。渋谷、新宿、池袋、上野、品川・・・環状線である山手線は東京と関わる様々な人々の思いを乗せて毎日走り続けている。時代は移り変わっても、純一にとっては東京での思い出がたくさん詰まっている特別の存在だった。十代、二十代、三十代・・・そして五十三歳の今。純一は最後の山手線に乗った。不思議なまでに昨日のことのように蘇る記憶の数々。もう二度と戻ることのできない青春が走り過ぎていく。