小説 / 恋愛
完結 ZERO
作品の長さ:9,720文字
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この小さな命がやがて大木となり、あの場所に立つことを――。
僕は高校と隣接する自然公園の奥の奥に、一本の大木が立っているのを知っている。彼はどこまでも木の枝を広げ、そこに悠然と構えていた。僕は放課後になるとその場所に通い、彼に身を寄りかからせて、密かに読書を楽しんでいた。だが、そんなある日、一人の少女がその木の元にやって来る。彼女は泣いていて、その想いを言葉にして大木に届けていく。僕は彼女の声が聴いていられなくて、そっと顔を覗かせた――。一本の大木を巡る、高校生の青春ストーリー。